熱電対は常温から1千度を超えるような高温まで、幅広い温度範囲を精密測定する際に多用されています。基本的な原理ですが、金属棒の先などに取り付けられた感温部に温度を測定したいものを接触させると、温度勾配によって電位差(熱起電力)が発生します。感温部には二種類の異なる導体が接触していて、温度両者の温度に差が生じると起電力が発生(ゼーベック効果)します。検出器は室温なので、室温と感温部との温度差によって起電力が発生します。温度が高いほど電位差が大きくなるので、熱起電力(電圧)を測定することで温度を測定することができます。測定装置には精密な電圧計が組み込まれていて、検知した電圧を温度に換算してデジタル表示します。測定装置に高感度の電圧計を組み込んで熱起電力を精密に検知させることにより、感温部の温度を精密に測定することができます。感温部や導線、検出器の劣化、熱の流入による温度勾配の変化が原因で、正確な温度が測定できなくなる場合があります。

熱電対の劣化によって生じる誤差とは

熱電対の感温部には種類が異なる金属線の先端同士が接触していて、発生した熱起電力を検知するために導線で検知装置に繋がっています。感温部は何度も測定を繰り返すことにより、金属線の先端(接点)の劣化や、熱履歴により材質の不均一化が起こります。基本的に感温部の金属線は高温でも劣化しにくい材料が用いられていますが、高温と室温の熱変化を繰り返すことにより少しずつ金属の格子欠陥が移動して結晶構造が変化してしまいます。金属線の接点部分や金属内部の結晶構造が変化すると熱起電力の値が変化してしまいます。感温部と検知器の間に接続されている導線も長年の使用により劣化して、検知される電圧値が変化してしまいます。熱起電力を検知器内部の電圧計に伝えるための導線の電気抵抗が大きくなれば、同じ温度でも低い測定値が表示されてしまいます。さらに、検知器内部に組み込まれた電圧計も経年劣化します。長年にわたる使用で経年劣化するため、定期的に校正を行う必要があるのです。

毎回の測定時に校正を行う必要性

熱電対は長年使用し続けると感温部分や導線・検知器の電圧計が経年劣化して、少しずつ誤差が生じるようになります。短期的であれば感温部や導線の劣化は僅かなので、さほど気にする必要はありません。それでも長時間にわたり何度も高温の物体の温度を測定し続けると、感温部の熱が導線部分まで流入してしまいます。熱起電力(ゼーベック効果)は温度差が生じることで電圧が発生する現象です。もしも導線部分まで熱が伝わると感温部の電対部分の温度差(温度勾配)が小さくなり、熱起電力値が小さくなります。検出器は熱起電力(電圧)を測定して温度を算出しているため、実際よりも低い温度が表示されるようになってしまいます。連続して何度も温度を測定する場合や、長時間温度を測定し続ける場合には、測定の合間にこまめに校正を行う必要があります。