熱電対とは、異なる金属線を接合すると、接合部分に温度に応じた起電圧が発生するというゼーベック効果を利用して、熱起電力を測定することで、規準接点を一定温度に保つことで、測温接点の温度をしることができます。どのような金属でも電圧が発生するといわれていますが、耐食性や価格、線加工性、耐熱性、温度測定範囲、発生起電圧の大きさや、各種雰囲気下での安定性などから、通常は、クロメル・アルメル、銅・コンスタンタン、クロメル・コンスタンタン、タングステン・レニウム合金、鉄・コンスタンタン、白金ロジウム合金に限られ、この異種の金属導体を熱電対といいます。熱電対線は、細いほどノイズの影響を受けやすく、モーターからも放射されているため、データロガーのアースを十分行う必要があります。
使用時のポイントと校正方法とは
補償導線は、熱電対と温度計測器との間を接続するために使用する導線のことで、0度~60度の使用範囲においては、ほぼ同等の熱起電力特性をもっているため、延長に使用されています。感温部は、温度勾配がある部分のため、補償導線においても、温度差に相当する熱起電力が発生します。補償導線を使用せずに、銅導線を使用した場合には、温度勾配のある部分であっても、熱起電力は発生しないため、測定結果に誤差が生じてしまいます。補償導線との接続は、温度勾配が接続部にない場合、通常の端子台でも問題はありませんが、温度差が生じると正確な計測ができなくなってしまうため、使用するものと同等の熱起電力特性をもっている専用のコネクターを使用します。校正とは、使用している製品が示している値と、真の温度との関係を決定する作業のことで、通常は、半年に1回行います。
校正方法には、定点法と比較法がある
定点法は、正確な温度値を温度定点で与える方法で、定点の温度を測定して行っていきます。温度定点とは、物質の相平衡状態なので、いつ再現しても温度は一定となります。一方、比較法は、任意に定めた恒温槽の温度を、標準の製品で計測し、同時に計測した被校正製品との誤差を求めていく方法です。比較法は、定点法に較べると精度は落ちてしまいますが、任意の温度で測定できるのが特徴となっています。使用する温度や雰囲気によっても異なりますが、製品にも寿命があり、一般的に、酸化雰囲気中で異常温度以下で使用すると、貴金属で約2000時間、卑金属は約10000時間程度となっています。さらに、上限の温度で使用した場合には、約50~250時間寿命が短くなってしまいます。寿命に近づくと、正確な温度を測ることができなくなってしまうため、定期的なメンテナンスが必要です。